毎年冬になると「南岸低気圧」という言葉を天気予報などで聞くと思います。
「冬晴れ」という言葉があるとおり東京含む太平洋側の地域は雪が少ないですが、この南岸低気圧が接近通過したときは雪の可能性が高まります。
今回は「南岸低気圧」ついて仕組みや予報が難しいといわれる要因を解説していきたいと思います。
南岸低気圧とは?
南岸低気圧はその名の通り本州の南岸を通過する温帯低気圧のことです。
南シナ海付近で発生した低気圧が発達しながら本州の南を東進し、北から寒気を引っ張るため冷たい雨や時には関東平野など太平洋側の平地でも雪をもたらすことがあります。
なぜ予報が難しい!?
関東平野部の南岸低気圧による雪の予報は非常に難しいと言われています。
実際に雪の予報であったが冷たい雨で経過したときや逆に、積雪がない予報だったが実際には大雪になってしまった例が過去に何度もあります。
これは南岸低気圧の通過位置や周辺の気圧配置によって大きく気温が左右されるためです。
南岸低気圧は北に寒気、南に暖気を持った性質を持っているので陸地に近すぎるルートだと暖気の影響を受けて雨に、逆に南すぎると気温は十分低いものの雨雲自体かからないということになっていまいます。
気象の教科書では低気圧が八丈島付近を通過し、850hpa付近の気温が-6℃以下だと東京は雪になると書かれることが多いですが、実際にはそれよりも北を通過したときやもっと上空の気温が高くても大雪になってしまうこともしばしばあります。
また気温2℃以下で雪になる(湿度により前後)と言われていますが、その気温すれすれで推移することが多いためほんの0.○℃や1℃の変化で雪と雨が移り変ってしまいます。
これらいろいろな気象条件が重なり合って雪か雨か変化していくので南岸低気圧による雪の予想は難しいと言われています。
過去の南岸低気圧による大雪の例
東京都心では南岸低気圧による大雪がいくつかあります。
最近では2018年1月、記憶に残っているのだと2014年2月の大雪がよく知られているでしょうか。それらを今回は紹介します。
2018年1月22日
この記事を書いている時点(2019年12月)でもっとも最近の大雪事例はこの日付ではないでしょうか
2018年1月22日〜23日にかけて東京で23cmの積雪を観測するなど関東地方を中心に大雪となりました。
この南岸低気圧は24時間で中心気圧が20hPaも低下するなど急発達し、寒気の南下、降水量共に多くなりました。
この事例は大雪が事前が予想されていたため、一斉に早期帰宅などを行ったため電車やバスが大混雑し都心を中心に帰宅困難者が出るなど大きな混乱となりました。
2014年2月の大雪
2014年2月の大雪は記憶に残っている方が多いと思います。
2月8日に関東で記録的な大雪になりましたがその1週間後2月14日~15日に再び、さらに2月8日を超える大雪となりました。
どちらも急速な低気圧の発達と強い降水により極端に積雪量が多くなりました。
2月14日~15日にかけての大雪は甲府で114cm、熊谷でも62cmと各地で観測史上1位の積雪となり、甲信地方を中心に大きな被害が出ました。特にこのときは降水量が多かったイメージがありますね。
2月14日~15日の事例では上空の気温が比較的高い状態で雪となりました。
天気予報を見て雪への備えを
予報が難しいとは言え"雪の可能性"というのは誰でも考えることができます。
例えば冬に週間予報で「雨または雪」という予報が出たり、テレビやネットの天気予報の天気図で日本の南に低気圧(Lマーク)が予想されているのをみたら「もしかしたら雪になる可能性がある」という意識を持っているだけで全く違うと思います。
また週間予報の雨マークで極端に気温が低い日も要注意ですね
東京含む太平洋側の地域は雪の降る頻度が少ない分、少しの積雪で大混乱になりやすいです。
雪への備えや知識を知っておくことで少しでも防災へ繋がると良いです。
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